COLUMN / SNS・インフルエンサー
SNSで保存を増やす投稿の共通点|後で使える価値と視認性の設計
この記事の要点
- 保存される投稿には「後で使える価値」と「一目で中身がわかる視認性」の2つがそろっています
- 人は「あとで必要になるかもしれない情報を失いたくない」と感じたときに保存します。損失回避と記憶の仕組みが関係しています
- 宿泊施設なら、旅程・持ち物・過ごし方のような「旅の準備に使える情報」を1枚目で示すと保存されやすくなります
SNSに投稿しても、いいねは付くのに保存が増えない。そんな悩みを持つ宿泊施設やヴィラの運営者、中小企業の担当者は少なくありません。保存は、見た人が「後でまた見たい」と判断した行動です。そのため予約や来店に近い反応だと考えられています。この記事では、保存される投稿の共通点を「後で使える価値」と「視認性」の2つの軸で整理します。あわせて、宿泊施設の投稿例と効果の確かめ方を紹介します。
SNSの保存が増えると何が変わるのか
保存とは、投稿を自分のコレクションに残しておく機能です。いいねが「今の気持ち」の表明なのに対し、保存は「未来の自分への備え」です。旅行の計画や購入の検討をしている人ほど、情報を保存する傾向があるとされています。
宿泊施設にとって、保存は次のような意味を持ちます。
- 旅行の計画段階で、候補リストに入ったことを示す
- 後日もう一度見返されるため、思い出してもらえる機会が増える
- 保存された投稿は、プラットフォーム側からも有益な投稿と判断されやすいとされる
フォロワー数のような見た目の数字より、保存は検討の深さを表します。指標の決め方そのものは別の記事に譲ります。ここでは「どうすれば保存したくなるか」に絞ってお話しします。
保存される投稿の共通点は2つ
保存される投稿を見比べると、共通点は大きく2つにまとまります。1つ目は「後で使える価値」です。2つ目は「一目で中身がわかる視認性」です。どちらか片方だけでは保存されにくくなります。
| 軸 | 保存されやすい投稿 | 保存されにくい投稿 |
|---|---|---|
| 後で使える価値 | 手順・リスト・比較・チェック項目がある | 雰囲気だけで、使える情報がない |
| 視認性 | 1枚目で「何の情報か」がすぐわかる | 読み進めないと内容がわからない |
| 情報の量 | 1投稿1テーマで、見返しやすい | 情報が多すぎて要点が埋もれる |
| 使う場面 | 旅行前・現地・帰宅後など場面が明確 | いつ役立つのかがわからない |
後で使える価値とは
「後で使える」とは、見た人が未来の自分の行動に使える情報のことです。たとえば「雨の日の過ごし方5選」は、雨の予報が出たときに役立ちます。美しい夕日の写真は心を動かしますが、それだけでは見返す理由がありません。
視認性とは
視認性とは、パッと見て内容が伝わる度合いです。SNSでは、投稿が流れていく一瞬で判断されます。1枚目に「何についての情報か」を大きな文字で示すと、保存の判断がしやすくなります。
ニューロマーケティングの視点で見る「保存したくなる」仕組み
ニューロマーケティングとは、人の注意・感情・記憶・意思決定の仕組みを、マーケティングの設計に応用する考え方です。保存という行動も、この仕組みで説明できます。
損失回避:失いたくないから残す
人は、得をする喜びよりも、損をする痛みを強く感じる傾向があるとされています。これを損失回避と呼びます。「この情報は、後で探しても見つからないかもしれない」と感じたとき、人は保存します。
実務では、投稿に「旅行前に確認したい」「当日では間に合わない」といった、使う場面とタイミングを添えます。煽る必要はありません。いつ役立つ情報かを正直に示すだけで十分です。
処理流暢性:わかりやすいものは価値が高く感じる
処理流暢性とは、情報を理解しやすいほど、その内容を好ましく、信頼できると感じやすい傾向のことです。文字が小さい投稿や、情報が詰め込まれた投稿は、理解に手間がかかります。その結果、内容が良くても価値が低く見えてしまいます。
実務では、1枚目の文字は短く大きくします。1投稿で伝えるテーマは1つにします。番号付きのリストにすると、全体の量がひと目でわかり、安心して保存できます。
記憶の外部化:覚えきれないから保存する
人の短期的な記憶には限りがあるとされています。そのため人は、覚えきれない情報を外部に預けます。保存は、まさにこの「記憶の外部化」です。
実務では、手順や持ち物、時間帯など「覚えておくのが面倒な情報」を投稿にします。読み手の記憶の負担を肩代わりする投稿ほど、保存される理由がはっきりします。
宿泊施設で保存されやすい投稿例
宿泊施設やヴィラで、保存されやすい投稿の型を紹介します。共通するのは、旅の準備や現地での行動に使えることです。
- 旅程モデル:「到着日から3日間の過ごし方」を時間軸で示す
- 持ち物チェックリスト:「プール付きヴィラに持って行くと便利なもの」をまとめる
- 天候別の過ごし方:「雨の日でも楽しめる館内の過ごし方」を提案する
- チェックインの流れ:鍵の受け取りから入室までを手順で示す
- 周辺情報の比較:近くのスーパーや飲食店を、距離や営業時間で整理する
反対に、外観写真だけの投稿は、印象には残っても保存はされにくい傾向があります。写真の美しさは注意を引く入口です。そこに「使える情報」を重ねることで、保存につながります。
また、SNSで保存した人は、後日あらためて予約サイトを開きます。投稿の内容と予約サイトの掲載情報がそろっていると、迷わず予約に進めます。予約サイト側の整え方は「沖縄ヴィラのOTA活用戦略」で解説しています。
保存が増えたかを手元のデータで確かめる方法
保存を増やす施策は、手元のデータで検証できます。大がかりな仕組みは必要ありません。
- 投稿ごとの保存率を比べる:保存数を表示回数で割り、型ごとに比べます。表示回数の差による偏りを減らせます
- 1枚目だけを変えて試す:同じ内容で、1枚目の文字や構成だけを変えた投稿を時期をずらして出します。簡易的なA/Bテスト(2案を比べる検証)になります
- 予約データと照らし合わせる:保存の多い投稿を出した後に、予約サイトへのアクセスや問い合わせが増えたかを見ます
- コメントや問い合わせの内容を読む:「この情報が知りたかった」という声は、次の投稿テーマの手がかりになります
数字が少ないうちは、1回の結果で判断しないことが大切です。同じ型を何度か試し、傾向として読み解きます。
株式会社木立の実践
株式会社木立(KODACHI)は、沖縄でリゾートヴィラブランド「MIRATIO」を13棟運営しています。プライベートプール、サウナ、ジャグジーなどを備えた一棟貸しのヴィラです。スマートロックやタブレットチェックインによる無人運営も取り入れています。
無人運営のヴィラでは、ゲストが到着前に情報を確認しておくことが大切です。そのため木立では、チェックインの流れや設備の使い方を「事前に見返せる情報」として整えることを重視しています。これは、SNSで保存される投稿の考え方と同じです。運営実績としては、Airbnbの平均評価4.91、稼働率70〜90%を目安としています。
また木立は、ニューロマーケティングとインフルエンサーマーケティングを事業として手がけています。アクセス解析、アンケート、A/Bテスト、予約データといった手元のデータをAIで分析します。そのうえで、注意や記憶の仕組みに沿った施策に落とし込みます。事業の全体像は事業紹介でご覧いただけます。
よくある質問
SNSの保存といいねは、どちらが大切ですか
目的によって異なりますが、予約や購入につなげたい場合は保存を重視するのがおすすめです。保存は「後で見返したい」という検討の深さを表すからです。いいねは共感の広がりを見る指標として、あわせて確認するとよいでしょう。
写真がきれいなだけでは保存されないのですか
写真の美しさは注意を引くうえで大切ですが、それだけでは保存の理由になりにくいとされています。旅程や持ち物、過ごし方など、後で使える情報を重ねると保存されやすくなります。写真と情報の組み合わせを意識してください。
保存を増やすために、1枚目で何を意識すればよいですか
「何についての情報か」が一目でわかることを意識します。文字は短く大きくし、テーマは1つに絞ります。「3日間の過ごし方」のように数字を入れると、情報量が伝わりやすくなります。
投稿の効果はどれくらいの期間で判断すべきですか
1回の投稿だけで判断せず、同じ型を数回試してから傾向を見るのが安全です。保存数は表示回数に左右されるため、保存率で比べます。予約データとあわせて読み解くと、施策の良し悪しが見えやすくなります。
まとめ
- 保存される投稿には「後で使える価値」と「一目でわかる視認性」がそろっています
- 損失回避や処理流暢性、記憶の外部化という仕組みが、保存の行動を後押しします
- 宿泊施設なら、旅程・持ち物・過ごし方など旅の準備に使える情報が保存されやすい型です
自社の投稿や予約データをもとに、保存される投稿の型を見つけたい方は、お問い合わせからお気軽にご相談ください。