COLUMN / AI・DX

Claudeのメモリ機能とは|経営の前提を引き継がせる設定と線引き

この記事の要点

  • Claudeのメモリ機能とは、会話で伝えた事業の前提や好みをClaudeがトピックごとに覚え、次の会話で生かす機能です。
  • メモリは「Settings」の「Memory」でオン・オフでき、覚えた内容を確認・編集・削除できます。
  • 経営者が決めるべきなのは、覚えさせてよい情報と、メモリを使わない会話の線引きです。

AIに仕事を頼むたびに、自社の事業内容や文章の好み、重視している指標を一から説明し直すのは手間です。一方で「AIに何でも覚えられるのは心配」という声もよく聞きます。この記事では、Claudeのメモリ機能の仕組みと設定、そして経営者として決めておきたい「覚えさせる情報の線引き」を整理します。

Claudeのメモリ機能とは?できること

Claudeのメモリ機能とは、会話の中で分かったことをClaudeがトピックごとに保存し、後の会話で参照する機能です。公式ヘルプでは、会話が終わってから要約するのではなく、会話しながら個別のトピックとして保存され、「これを覚えておいて」と直接頼むこともできると案内されています(公式ヘルプ:チャット検索とメモリ)。

あわせて、過去の会話を検索して参照する「チャット検索」も用意されています。プロジェクト(業務ごとに資料や指示をまとめる作業場所)を使うと、プロジェクトごとに別のメモリが作られ、他のプロジェクトや通常の会話とは分けて扱われます。経営の前提と部署の業務を混ぜたくないときに役立ちます。

Claudeのメモリの範囲:通常の会話、プロジェクトごとのメモリ、保存されないインコグニートチャット通常の会話メモリを使う・増やす例:文章の好み、事業の概要過去の会話も検索できるプロジェクトA専用のメモリ例:経営会議プロジェクトB専用のメモリ例:採用業務互いに混ざらないメモリを使わない会話「+」でMemoryをオフにした会話インコグニートチャット機微な相談はこちらで
図1:メモリが使われる範囲。プロジェクトごとに分かれ、使わない会話も選べます

準備するもの

メモリを業務で使う前に用意したいのは、プランの確認と、「覚えさせる情報」「覚えさせない情報」の一覧です。特に後者は、社員に広げる前に経営者が決めておきます。

準備するもの 内容
Claudeのプラン 公式ヘルプでは、メモリはFree・Pro・Maxで初期設定がオン、Team・Enterpriseではオーナーが有効にしたうえで各メンバーがオンにすると案内されています
覚えさせる情報の一覧 事業の概要、社内の用語、文章の好み、報告の形など
覚えさせない情報の一覧 個人情報、取引先の機密、未公開の数字、人事情報など
プロジェクトの分け方 経営会議、マーケティング、採用など、前提を分けたい業務の単位
管理者(Team・Enterprise) 組織としてメモリを有効にするかどうかを判断する人

設定の手順

設定は「Settings」の「Memory」にまとまっています。経営者自身がまず使ってみて、覚えた内容を確かめるところまで試すと、社内への説明もしやすくなります。

  1. Team・Enterpriseの場合は、オーナーが「Organization settings」の「Capabilities」でメモリを有効にします。
  2. 各自が「Settings」の「Memory」を開き、「Generate memory from chats」をオンにします。過去の会話を参照させたい場合は「Search and reference chats」も確認します。
  3. 事業の概要や報告の好みなど、覚えてほしい前提を会話で伝え、「これを覚えておいて」と頼みます。
  4. 「Settings」の「Memory」にある「Topics」を開き、保存された内容を読みます。誤りや不要なものはここで編集・削除します。
  5. 経営会議など前提を分けたい業務は、プロジェクトを作ってその中で会話します。
  6. 機微な相談をするときは、最初のメッセージを送る前に「+」メニューで「Memory」をオフにするか、インコグニートチャットを使います。
  7. 月に1回「Topics」を見直し、古くなった前提を更新します。
メモリに覚えさせてよいかを判断する分岐図個人情報や取引先の機密を含みますか?はいいいえ覚えさせないMemoryオフの会話で扱う特定の業務だけで使う前提?はいいいえプロジェクトのメモリに通常のメモリに覚えた内容は「Topics」で確認・削除月に1回の見直しを習慣に
図2:覚えさせる情報の線引き。迷ったら覚えさせない側に倒します

そのまま使える指示文の例

最初に覚えさせるのは「会社の前提」と「報告の好み」がおすすめです。次の指示文を自社の内容に置き換えて送ってください。

【目的】
今後の会話で毎回説明しなくて済むように、自社の前提と報告の好みを覚えてもらう。

【手順】
1. 次の内容を覚えてください。
・自社の事業:(事業の概要を1〜2文で)
・重視している指標:(例:粗利、リピート率)
・社内の用語:(例:「案件」は商談中の顧客を指す)
・報告の好み:結論を最初に、箇条書きは3点まで、数字には出典を添える
2. 覚えた内容を一覧で示してください。

【守るルール】
・個人名、取引先名、未公開の数字は覚えないでください。
・私が伝えたこと以外を推測で足さないでください。
・前提が古そうな場合は、使う前に確認してください。

【報告】
・覚えた項目を箇条書きで返してください。
・覚えなかった項目があれば、その理由を添えてください。

うまく動かすコツと注意点

メモリをうまく使うコツは、「前提は覚えさせ、機密は覚えさせない」を社内の共通ルールにすることです。ルールがあれば、社員が迷わず使えます。

  • 公式ヘルプでは、会話を削除してもそこから作られたメモリは削除されないと案内されています。不要なメモリは「Topics」から個別に削除します。
  • 健康などのセンシティブな話題は、初期設定ではメモリに含めない設定になっています。業務利用ではそのままにしておくのが無難です。
  • Team・Enterpriseでは、オーナーが組織のメモリをオフにすると全員のメモリデータが削除されると公式ヘルプにあります。切り替えは事前に社内へ周知してから行います。
  • オーナーでも各メンバーのメモリは閲覧・編集できません。扱いのルールは「使う人が守る」前提で作ります。ルールの作り方は生成AIの社内ルールの作り方、情報管理の考え方は生成AIの情報漏えい対策も参考にしてください。
  • 社内資料を幅広く探したい場合は、メモリではなく資料検索の仕組みが向いています。違いは社内ナレッジ検索(RAG)の仕組みで紹介しています。

導入チェックリスト

  • □ 覚えさせる情報と覚えさせない情報の一覧を作った
  • □ メモリとチャット検索の設定を確認した
  • □ 前提を分けたい業務ごとにプロジェクトを作った
  • □ 機微な相談ではメモリをオフにする運用を決めた
  • □ 「Topics」を見直す日を決めた
  • □ ルールを社員に周知してから利用を広げた

株式会社木立の実践

株式会社木立は、自社の業務で主にClaudeを使い、コラム記事の補充や経営ダッシュボードの更新、朝のブリーフィングなどをスケジュールタスクで毎日動かしています。毎日繰り返し動く仕組みでは、会社の前提をどこに持たせるかが品質を左右します。結果を安定させたい前提は指示文に明記し、会話の中で自然に生かしたい好みはメモリに任せる、という使い分けが考え方の基本になります。株式会社木立のAIコンサルティングは、ヒアリング1回でその直後から始められ、決まったマニュアルを使わず、進め方・使うAI・成果物をすべてお客様ごとにオリジナルで設計します。

よくある質問

Claudeが覚えた内容はどこで確認できますか?

「Settings」の「Memory」にある「Topics」で確認できます。各トピックは読むだけでなく、編集や削除もできます。会話の中で「これを忘れて」と伝えることもできます。

一部の会話だけメモリを使わないようにできますか?

できます。最初のメッセージを送る前に「+」メニューで「Memory」をオフにすると、その会話はメモリを使わず、新たに覚えることもありません。履歴にも残したくない場合はインコグニートチャットを使います。

会社の管理者は社員のメモリを見られますか?

公式ヘルプでは、Team・Enterpriseのオーナーは各メンバーのメモリを閲覧・編集できないと案内されています。組織としては、メモリを有効にするかどうかを管理します。

プロジェクトの指示とメモリはどう使い分けますか?

毎回同じように守ってほしい手順やルールはプロジェクトの指示に書き、会話の中で分かっていく好みや前提はメモリに任せるのが使いやすい分け方です。

まとめ

  • Claudeのメモリ機能は、会話で伝えた前提や好みをトピックごとに覚えて次に生かす機能です。
  • 設定は「Settings」の「Memory」で行い、覚えた内容は「Topics」で確認・編集できます。
  • 経営者は覚えさせる情報の線引きを決め、プロジェクトやメモリオフの会話を使い分けます。

Claudeを社内で安全に使うための設定やルールづくりは、株式会社木立のAIコンサルティングでご支援しています。お気軽にお問い合わせください。

関連コラム

コラム一覧へ ›

まずは無料相談・お見積もりから

貴社の課題やビジョンをお聞かせいただき、
最適なソリューションと概算のお見積もりをご提案いたします。

無料相談・見積もり

お電話でのご相談:098-979-9803(平日 9:00–18:00)